廣瀬祥子 Shoko Hirose
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒
Independent TOKYO2018審査員特別賞受賞
「ひろせ」名義でイラストレーターとして活躍しながらも現代アートの領域で作品を発表してきました。デジタルの描画技術を駆使しながらもアナログな表現をミックスするスタイルで制作し、近年では古来より絵画表現に用いられてきた重層構造をテーマとしており、下絵の段階~数十層ものレイヤーからなる、デジタル上で作成したデータを出力したものの上に、描画材を用いての物質を伴う「レイヤー」を新たに追加しています。
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デジタルにアナログのレイヤーを重ね、現代における絵画表現を探る
イラストレーター「ひろせ」と、現代アーティスト「廣瀬祥子」両方の顔を持つ廣瀬さんに、二つの領域で絵を描くこと、過去から現在への変遷、そしてアーティストとしての目標について伺いました。
廣瀬祥子の作品群に描かれる少女たちは、内面の情動が伝わるかのようなひりひりとした眼差しを投げかけ、憂鬱な表情や挑発的な微笑を見せるなど、複雑な感情を感じさせます。
人物はイラストのようでありながらリアルに特徴を捉えた独特なタッチで描かれており、イラストとアートを自在に描き分ける廣瀬ならではの描線です。
イラストレーターとしても活躍する廣瀬にとって、時代を読み流行を取り入れることは作品における重要なテーマ。作品に登場する人物のファッションも注目ポイントです。
イラスト、漫画、アートなどジャンルを横断しながら時代の空気を含みつつ生まれる作品は、今を象徴する作品と言えます。
廣瀬は絵に幾層ものレイヤーを追加して作品を生み出します。
特徴的なのは最初と最後だけアナログでの手作業を行っているということ。まず下絵をボールペンで描き、スキャンしてデータ化してからの描きこみは全てデジタルで行い、出力したものに絵具で色を加えています。
藝大で油絵を学んだ廣瀬祥子は、現代において絵画で表現することの意味を、古来より絵画表現に用いられてきた重層構造や、油絵ならではのマチエールとして作品に取り入れています。
また、ベースには同じ作品を使用しつつ、自らトリミングして複数の作品を生み出すことも特徴的です。幼いころからデジタルに親しみ、パソコンの画面を通して絵画を見てきた廣瀬は、自身で描いた作品を「画像」と捉えており、色や切り取る場所を変えて複数の見方を示しています。
幼少期はアニメの絵を真似して描くことから始まり、美大受験を経て、イラストの領域でも活躍する廣瀬。
アートとイラストの境界線が無くなりつつある現代で、廣瀬にとって絵を描くことは、世界中の人とのコミュニケーション手段でもあるといいます。
アート・イラスト・デザインなどハイブリッドなエッセンスを作品に表出させる廣瀬は、世界に向けて自身の絵を発信しながら、現代における絵画表現の在り方を探っています。
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
受賞
2014 トーキョーワンダーウォール2014入選
2018 Independent TOKYO2018 審査員特別賞
展示
2014 トーキョーワンダーウォール2014 入選作品展 – 東京都現代美術館[東京]
2014 取手アートパス2014 – 東京藝術大学[茨城]
2017 東京藝術大学油画専攻3年生展覧会「無二無二」 – アーツ千代田 3331[東京]
2018 東京藝術大学美術学部卒業制作展- 東京都美術館[東京]
2018 first 展 – 長谷壱番館[神奈川](会期2018/8/11~8/25)
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